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飲食店は届出、古物商は取り直し|法人成りで許認可がどう変わるかを業種別に

個人事業主 法人成り 許認可 公開 2026年9月1日 最終更新 2026年9月1日 運営者:サイト運営事務局 本文 約6,212字

自分の業種がどうなるか知りたい方へ

飲食店、古物商、酒販、美容、運送。許可や登録を受けている個人事業主が、会社設立をしたときに何をするのかを業種ごとに確かめたい、という場面のためのページです。

扱いは業種でまるごと変わります。 届出だけで済むものもあれば、返納して取り直すものもある。ひとくくりにはできません。

しかも制度は動いています。数年前の解説がそのまま当てはまらない業種もあるので、窓口と確かめ方までセットで書きます。

扱いは3つに分かれる

扱いは3つに分かれるを表したイラスト
まず、自分の型を確かめてください

業種ごとの話に入る前に、法人成りのときの扱いを3つの型に整理します。自分がどれに当たるかが分かれば、段取りが決まります。

ひとつめは、承継の仕組みがあるもの。法人成りの前にあらかじめ手続きをすれば、法人が地位を引き継げます。建設業許可の事業承継等の認可がこれです。

ふたつめは、届出で切り替えられるもの。食品衛生法にもとづく営業許可の地位承継届がこの型です。認可のような審査を経ずに、届出で営業者を変えられます。

みっつめは、取り直しになるもの。法人成りをしたら個人の許可を返納し、法人として新規に申請します。古物商許可や酒類販売業免許がこれに当たります。

同じ「個人事業主が会社設立をしたら許可はどうなるか」という問いでも、答えがまったく違うということです。だから、他業種の記事を読んでも参考になりません。

個人事業主として複数の許認可を持っている方は、それぞれ型が違うこともあります。飲食店をやりながら酒も売っている、といった場合です。

会社設立の日程は、いちばん時間がかかるものに合わせて組みます。取り直しが混じっていれば、そこが律速になります。

法人成りのときの、許認可の3つの型
自分の許認可がどちらかで、段取りが決まります

個人事業主として会社設立を控えている方は、以下の代表的な業種から自分に近いものを見てください。

出典法人成りしたらやることリスト!手続きの仕方や必要書類も解説 | 会社設立の基礎知識 – 小谷野税理士法人 (小谷野税理士法人/2026年9月1日確認)

飲食店——地位承継届で営業者を変えられる

飲食店——地位承継届で営業者を変えられるを表したイラスト
令和5年12月13日以降の事業譲渡が対象です

飲食店から見ていきます。法人成りの扱いが近年変わった分野なので、古い情報に注意が要ります。

食品衛生法にもとづく営業許可には、地位承継届という仕組みがあります。営業者による事業の譲渡、個人営業者の死亡による相続、法人営業者の合併・分割によって地位を承継する場合に使えます。

このうち事業譲渡については、渋谷区のページに、令和5年12月13日以降に事業譲渡が行われた場合が対象と書かれています。それより前は、相続と合併・分割だけが対象でした。

つまり以前は、個人事業主が会社設立をするときは廃業届を出して法人で新規の営業許可を取る、という流れでした。いまは届出で営業者を変えられます。

必要な書類は、地位承継届、営業許可書の原本、そして地位承継の事実を証するものです。事業譲渡の場合は営業の譲渡が行われたことを証する書類、譲受人が法人なら登記事項証明書を添えます。

譲渡契約書がない場合に使える参考様式を用意している自治体もあります。渋谷区のページには、その様式と記入例が置かれています。

なお、営業許可の場合には業務の状況について保健所による調査が行われるとされています。届出だから何もないというわけではありません。

それから、事業譲渡の予定がある場合は必ず事前に相談するよう案内されています。個人事業主が会社設立の準備をしている段階で、保健所に一度話を通してください。

店舗を移転する場合や施設を大きく変える場合は、承継では対応できず新規の許可が必要になることがあります。会社設立と同時に移転を考えているなら、そこも含めて相談してください。

出典【新制度】変更・廃業・地位承継届について | 食品衛生(事業者向け) | 渋谷区ポータル (渋谷区/2026年9月1日確認)

古物商——個人の許可は返納して、法人で取り直す

古物商——個人の許可は返納して、法人で取り直すを表したイラスト
登記事項証明書がないと、申請できません

古物商許可は、飲食店とは扱いが違います。法人成りをしても、個人から法人へ切り替える手続きがありません。

古物営業法にもとづく許可で、営業所の所在地を管轄する警察署が窓口です。会社設立をしたら法人として新たに許可を取り、個人事業主のときの許可証は返納します。

申請に必要な書類は、個人と法人で違います。法人の場合は定款の謄本と登記事項証明書が要り、役員それぞれについて略歴書、住民票の写し、誓約書を出すことになります。

つまり、会社設立の登記が終わって登記事項証明書が取れないと、申請そのものができません。登記が起点になります。

そして、定款の事業目的に古物営業に関する記載が必要です。ここが抜けていると受け付けてもらえないことがあるので、会社設立の定款を作る段階で確かめてください。

問題は、申請から許可が下りるまでの期間です。この間、法人としては許可がありません。法人の仕事を個人の許可でやることはできません。

だから、個人の許可は法人の許可が下りるまで返納しないのが原則です。ただし、その間にどう営業するかは事前に管轄の警察署へ相談してください。

会社設立をしてから許可が下りるまでの扱いを、個人事業主の判断で黙って進めるのがいちばん危ない。相談しておけば、進め方を確かめられます。

なお、古物営業法の改正により全国統一の許可になっています。他の都道府県で営業を始める場合に、あらためて許可を取る必要はありません。

出典古物商許可申請 – 警視庁ホームページ (警視庁/2026年9月1日確認)

酒類販売業免許——取消しと新規を同時に進める

酒類販売業免許——取消しと新規を同時に進めるを表したイラスト
取消しと新規を、同時に出します

酒類販売業免許も、法人成りでは取り直しになります。窓口は税務署です。

酒類の販売業は、免許を受けた者の名義で行う必要があります。個人事業主として免許を受けていた方が会社設立をしても、個人事業主の免許で法人の酒を売ることはできません。

法人成りの場合、個人の免許の取消しの申請と、法人としての新規の免許申請を同時に進める形になります。こうすることで、法人成りの前後で営業を止めずに切り替えられます。

新規申請と同じ手続きが必要になるので、要件も一から見られます。人的要件、場所的要件、経営基礎要件、需給調整要件。それぞれを法人として満たすことになります。

経営基礎要件では、財務の状況や経験が見られます。個人事業主としての実績をどう説明するかがひとつの論点になります。

登録免許税もかかります。小売業免許と卸売業免許で額が違うので、自分がどの免許かを確かめてください。

それから、定款の事業目的に酒類の販売に関する記載が要ります。ここも会社設立の前に確かめる項目です。

審査には時間がかかります。会社設立の日程を組むときは、税務署に標準的な処理期間を聞いておいてください。

なお、酒販免許は個人事業主でも法人でも内容や取得の難しさに大きな差はないとされています。会社設立をしたから有利になる、という性質のものではありません。

出典酒類販売業の法人成り|手続きの流れと見落としがちな3つの注意点 | 酒類販売業免許の申請代行 (酒類販売業免許の申請代行/2026年9月1日確認)

そのほかの業種で確かめること

そのほかの業種で確かめることを表したイラスト
窓口ごとに、同じ5つを聞きます

代表的な3つ以外にも、許認可が要る事業は数多くあります。共通するのは、所管の窓口がばらばらだということです。

宅地建物取引業の免許は都道府県または国土交通大臣。専任の宅地建物取引士の設置が要件になります。個人と法人で免許は別なので、法人成りをするなら新規の免許申請になります。

一般貨物自動車運送事業は運輸局。許可の譲渡譲受には認可の仕組みがありますが、審査に時間がかかります。

産業廃棄物収集運搬業は都道府県または政令市。事業の譲渡による許可の承継には認可が要る形になっています。

美容所・理容所の開設は保健所への届出。旅行業は都道府県または観光庁への登録。介護事業は都道府県または市町村の指定です。

電気工事業、解体工事業、賃貸住宅管理業。登録や届出の形をとるものも多くあります。

それぞれ制度の作りが違うので、ひとつずつ所管に確かめるしかありません。「個人事業主から会社設立をするのですが、いまの許可はどうなりますか」と聞けば教えてもらえます。

所管の窓口に、確かめる5つ
電話1本で、たいてい答えが出ます

複数の許認可を持っている個人事業主の方は、この5つを許可ごとに埋めていってください。会社設立の日程はそこから逆算します。

出典法人成り時の建設業許可|事業承継認可と新規申請 | 行政書士 植松悠一郎 事務所 (行政書士植松悠一郎事務所/2026年9月1日確認)

会社設立そのものより、法人成りしたあとの設計で差がつきます

個人事業主のうちに決めておくこと(役員報酬・決算期・社会保険の入り方)は、あとから直すと手間もお金もかかります。法人成りの前後をまとめて見てくれる相手に、いちど当ててみるのが早道です。

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定款の事業目的は、許可の窓口に合わせる

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認証の前なら、直すのは簡単です

どの業種にも共通するのが、定款の事業目的です。

会社は定款に定めた目的の範囲内でしか事業をできません。許認可の申請でも、その事業が目的に入っているかが見られます。

業種によっては書き方が細かく決まっています。事業の内容だけでなく、根拠になる法律の名前まで入れるよう求められることがあります。

たとえば古物営業なら古物営業法にもとづく古物商、建設業なら許可を受ける業種の名称に沿った記載、という具合です。

入っていなければ、目的を追加する定款変更と変更登記が要ります。登録免許税がかかるうえ、時間も取られます。会社設立の直後にやることではありません。

だから、定款を作る段階で許可の窓口に確かめるのがいちばん確実です。公証人の認証を受ける前なら、直すのは簡単です。

会社設立で合同会社を選べば認証そのものが不要ですが、目的の書き方が許可に影響するのは同じです。

それから、将来やるかもしれない事業を入れておくという考え方もあります。ただ、目的が多すぎると事業の焦点が見えにくくなるという指摘もあります。

個人事業主のときは、事業の範囲を書面で縛られることがありませんでした。会社設立をすると、定款がその役割を持ちます。

出典定款の事業目的の書き方は?業種別の例文一覧付きでわかりやすく解説 | マネーフォワード クラウド会社設立 (株式会社マネーフォワード/2026年9月1日確認)

従業員や取引先にも、影響が出る

従業員や取引先にも、影響が出るを表したイラスト
許可の日程が、全体の日程を決めます

法人成りに伴う許認可の切り替えは、自分だけの話では終わりません。

従業員がいれば、雇用契約を法人名義に切り替えます。個人事業主として雇っていた人を、会社設立をした法人が雇い直す形です。社会保険や雇用保険の手続きも並行します。

許認可の要件として資格者を配置している場合、その人が法人でどういう立場になるかも確かめます。常勤であることが求められる資格では、雇用の形が要件に効きます。

取引先には、いつから法人名義になるのかを伝えます。請求書の宛先、支払先の口座、契約の当事者。すべて切り替わります。

許可番号を契約書に書いている場合は、その契約も直すことになります。継続中の案件があれば、相手の同意が要ります。

店舗や事務所を借りている場合、賃貸借契約も法人名義に変えます。貸主の承諾が要るので、時間がかかることがあります。

こうした周辺の切り替えは、許可が下りてからでないと動かせないものが多くあります。だから、許可の日程が全体の日程を決めます。

会社設立をしてから慌てて連絡するより、準備の段階で主要な取引先には話を通しておくほうが摩擦が少なくて済みます。

個人事業主として築いてきた関係を、法人として続けるための説明だと考えてください。

出典法人成りしたらやることリスト!手続きの仕方や必要書類も解説 | 会社設立の基礎知識 – 小谷野税理士法人 (小谷野税理士法人/2026年9月1日確認)

古い情報に、引きずられないこと

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更新日を見て、窓口で確かめてください

最後に、調べ方の注意を書いておきます。

許認可の分野は、ここ数年で制度が動いています。建設業許可の承継は令和2年10月から、食品衛生法の営業許可の見直しは令和3年6月から、事業譲渡による地位承継は令和5年12月13日以降の譲渡から。

つまり、それより前に書かれた法人成りの記事は、いまの扱いと違うことを書いている可能性があります。「飲食店は取り直し」「建設業は許可を引き継げない」といった記述がそれです。

検索して出てきた記事を読むときは、まず日付を見てください。更新日が書かれていないものは、判断の材料にしないほうが安全です。

そして、最終的な確認は所管の窓口です。自治体のホームページには、手引きや様式が公開されています。そこに書かれている内容が、その地域での運用です。

同じ制度でも、自治体によって求められる書類や運用が少しずつ違うことがあります。全国共通の答えを探すより、自分の営業所を所管する窓口に聞くほうが早い。

個人事業主が会社設立の準備をしている時期は忙しいものですが、ここは省略しないでください。許可の判断を誤ると、営業そのものが止まります。

このページの内容も、2026年9月時点で確かめたものです。読んでいる時点で変わっている可能性があります。

出典食品衛生法改正で飲食店の営業許可譲渡が簡単に! – BPS国際行政書士法人 (BPS国際行政書士法人/2026年9月1日確認)

まとめ|業種ごとに、窓口へ同じ5つを聞く

まとめ|業種ごとに、窓口へ同じ5つを聞くを表したイラスト
5つ聞けば、日程が組めます

個人事業主が会社設立をするときの許認可の扱いは、業種でまるごと変わります。承継できるもの、届出で切り替えられるもの、取り直しになるもの。

  • 飲食店食品衛生法の地位承継届。事業譲渡は令和5年12月13日以降のものが対象です
  • 建設業事業承継等の認可。あらかじめ受けることが条件です
  • 古物商個人の許可を返納し、法人で新規申請。登記事項証明書が要ります
  • 酒類販売業免許の取消しの申請と新規申請を同時に。窓口は税務署です

どの業種でも、所管の窓口に聞くことは同じです。承継の仕組みがあるか、手続きは事前か事後か、審査にどれくらいかかるか、定款にどう書くか、個人の許可はいつ返納するか。

この5つが埋まれば、会社設立の日程を組めます。逆に、埋まらないまま登記を済ませると、営業が止まる期間が生まれかねません。

制度はここ数年で動いています。古い記事の記述をそのまま信じず、更新日を見て、最後は窓口で確かめてください。

ここに書いた内容は2026年9月時点で官庁や自治体のページを確かめたものです。運用は業種と自治体によって異なります。個別の判断は所管の窓口か行政書士にご確認ください。

出典改正食品衛生法の営業許可と届出(令和3年6月1日から施行)|「食品衛生の窓」東京都保健医療局 (東京都保健医療局/2026年9月1日確認)

自分の許可の窓口に、5つだけ聞いてください

承継の仕組みがあるか。手続きは事前か事後か。審査にどれくらいかかるか。定款にどう書くか。個人の許可はいつ返納するか。この5つで、会社設立の日程は組めます。

飲食店は届出で済むようになり、建設業は事前認可で引き継げます。古物商や酒販は取り直しです。ひとくくりにせず、自分の業種で確かめてください。

制度はここ数年で動いています。検索して出てきた記事の更新日を見て、最後は窓口で確かめるのが確実です。判断に迷う部分は、業種に詳しい行政書士にご相談ください。

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個人事業主の会社設立と法人成りについて、国税庁・法務局・日本年金機構などの一次情報を確かめながらまとめています。記事の内容は執筆時点の制度にもとづく一般的な解説です。個別の判断は税理士など専門家と、所管の官庁にご確認ください。

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この記事のテーマで実際に検索して出てきたサイトを並べました。並び順に優劣の意味はありません。個人事業主の会社設立や法人成りの扱いは、書き手によって前提の置き方が違います。数字は必ず一次情報でも確かめてください。

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