本文へ移動

合同会社で法人成りするときに知っておくこと|個人事業主の会社設立と持分会社の仕組み

個人事業主 会社設立 株式会社 合同会社 公開 2026年8月26日 最終更新 2026年9月1日 運営者:サイト運営事務局 本文 約5,949字

合同会社で会社設立をすると決めた方へ

費用と手間を抑えて法人成りしたい。そう考えて合同会社を選んだ個人事業主の方に向けたページです。

合同会社は株式会社とは仕組みが違います。 代表社員という肩書き、持分という考え方、定款の自由度。知っておくと運営が楽になります。

設立の手続きから、設立後の運営まで、押さえておきたい点を順に並べます。

合同会社は「持分会社」という種類

合同会社は「持分会社」という種類を表したイラスト
出資者がそのまま経営に関わります

合同会社は、法律上は持分会社という種類に分類されます。株式会社とは建て付けが違う会社です。

株式会社では、出資する人(株主)と経営する人(役員)が制度上は分かれています。株主総会で役員を選び、役員が経営をします。

合同会社では、出資した人がそのまま経営に関わります。出資者は社員と呼ばれ、原則として全員が業務を執行する立場になります。

ここでいう社員は従業員のことではありません。出資者のことです。個人事業主が法人成りする場合、自分が社員になります。

業務を執行する社員のうち、代表となる人が代表社員です。株式会社でいえば代表取締役に当たる立場です。

この仕組みの違いから、会社設立の手続きも運営の仕方も変わってきます。定款の認証が不要なのも、この違いから来ています。

個人事業主がひとりで会社設立をする場合、自分が唯一の社員であり代表社員になります。構造としてはとても単純です。

複数人で出資する場合は、社員間の関係を定款で決めることになります。ここに自由度があります。

個人事業主から法人成りをする方にとって、この仕組みの違いはあまり実感を伴わないかもしれません。ひとりで会社設立をする限り、株式会社でも合同会社でも日々の動き方は変わらないからです。違いが出るのは、人が増えたときと、外部からお金を入れるときです。

以下、実務で知っておきたい点を順に見ていきます。

出典合同会社設立登記申請書(代表社員が法人でない場合) (法務局/2026年8月26日確認)

代表社員という肩書き

代表社員という肩書きを表したイラスト
登記されるのは、代表社員です

合同会社の代表者は、登記上は代表社員です。株式会社の代表取締役に当たる立場ですが、呼び方が違います。

名刺や対外的な場面で「社長」と名乗ることは妨げられていません。社長という呼び方は法律上の役職名ではないからです。

実務では、「代表社員」と併記する会社もあれば、「代表」とだけ書く会社もあります。契約書には登記された肩書きを使うのが安全です。

個人事業主として法人成りをした場合、対外的な呼ばれ方が変わることを気にする方もいます。ただ、取引の相手が肩書きを問題にする場面はそう多くありません。

会社設立の登記では、代表社員の氏名と住所が登記事項になります。株式会社の代表取締役と同じ扱いです。

業務執行社員を定款で限定することもできます。出資はするが経営には関わらない社員を作る形です。

ひとりで会社設立をする場合、この設計は不要です。自分が唯一の社員であり業務執行社員であり代表社員になります。

家族を社員に入れる場合は、業務執行社員にするかどうかを定款で決めることになります。

それから、代表社員の住所も登記事項になります。個人事業主として自宅で事業をしてきた方が会社設立をすると、自宅の住所が公開される形になります。気になる場合は、本店の置き方も含めて考えてください。

個人事業主のときには存在しなかった役割の話なので、会社設立の前に一度整理しておいてください。

出典合同会社設立登記申請書(代表社員が法人でない場合) (法務局/2026年8月26日確認)

持分という考え方

持分という考え方を表したイラスト
譲渡には、他の社員の同意が要ります

株式会社では、出資に対して株式が発行されます。合同会社では株式ではなく持分という形になります。

持分は、原則として他の社員全員の同意がなければ譲渡できません。株式のように自由に売買できるものではありません。

この仕組みは、少人数で信頼関係のある人だけで会社を運営したい場合に向いています。知らない人が勝手に入ってくることがないからです。

逆に、外部から出資を受けたい場合には向きません。出資者を増やすには定款の変更が必要になり、手続きも重くなります。

個人事業主がひとりで法人成りする場合、この点は当面関係ありません。自分ひとりが持分を持つ形だからです。

将来、事業を人に引き継ぐ場面では、持分の譲渡という手続きになります。株式の譲渡に比べると、手続きが少し複雑です。

それから、利益の配分を出資割合と違う形にできるという特徴もあります。定款で定めれば、出資は少なくても配分を多くすることができます。

労務や技術で貢献する人がいる場合、この柔軟さが効きます。個人事業主として仲間と一緒に法人成りするなら、検討する価値があります。

個人事業主が家族と一緒に法人成りをする場合、この配分の自由度は使いどころがあります。出資は自分が多く出しても、配分は貢献に応じて決めるといった形にできます。

会社設立のときに定款でどう定めるかを決めることになります。

出典合同会社設立登記申請書(代表社員が法人でない場合) (法務局/2026年8月26日確認)

定款の自由度が高い

定款の自由度が高いを表したイラスト
自由だからこそ、丁寧に作ります

合同会社の定款には、公証人の認証が要りません。会社設立の費用と日数が抑えられるのは、この点が大きいところです。

内容の自由度も高くなっています。株式会社では法律で定められている事項が多いのに対して、合同会社は定款で決められる範囲が広くなっています。

利益の配分、業務執行の方法、社員の加入と退社の条件。こうしたことを定款で自由に決められます。

ただし、自由度が高いということは、決めておかないと困るということでもあります。認証がないぶん第三者のチェックも入らないので、内容が甘くなりがちです。

ひとりで会社設立をする場合は、標準的な内容で足ります。事業目的、商号、本店所在地、資本金、事業年度。基本的な事項を押さえておけば問題ありません。

雛形をそのまま使う場合でも、事業目的と事業年度だけは自分の事業に合わせて考えてください。この2つは、あとから変えると手続きが要る部分です。

複数人で始める場合は、あとで揉めそうな部分を先に決めておいてください。誰が辞めるときにどうするか、利益をどう分けるか。

個人事業主が仲間と一緒に法人成りする場合、この定款の作り込みが将来のトラブルを防ぎます。

定款は会社設立のあとでも変更できますが、社員全員の同意が必要になるのが原則です。最初に決めておくほうが楽です。

個人事業主として一人で会社設立をするなら、定款の作成にそれほど時間はかかりません。雛形に沿って必要事項を埋めていけば形になります。

法務局は合同会社の設立登記の様式も公開しているので、定款の記載事項はそちらで確かめられます。

出典9-4 定款認証 (日本公証人連合会/2026年8月26日確認)

役員の任期がない

役員の任期がないを表したイラスト
長く続けるほど、この差が効きます

株式会社では役員に任期があり、満了すれば重任の登記が必要になります。定款で最長まで伸ばすことはできますが、いずれは登記が発生します。

合同会社には、この任期という仕組みがありません。だから、重任の登記も不要です。

登記が不要ということは、登録免許税もかからないということです。国税庁の税額表によれば、役員変更の登記は資本金の額が1億円以下の会社で1万円とされています。数年ごとにこれがかからないのは、地味ですが効いてきます。

それから、登記の期限を管理する手間もなくなります。株式会社では任期をカレンダーに書き込んでおく必要がありますが、合同会社ではその心配がありません。

登記を忘れて過料の対象になる、という事故も起きません。長く続ける会社では、この差は無視できません。

官報に決算を載せる費用は、掲載する内容によりますが数万円かかります。株式会社ではこれが毎年発生しうるのに対し、合同会社では発生しません。

決算公告の義務もありません。株式会社は決算を公告することとされていますが、合同会社にはこの義務がありません。

つまり、合同会社は運営の手間が軽い器だということです。個人事業主が法人成りをして、本業に集中したいなら向いています。

会社設立の実費が安いことに目が行きがちですが、この維持の軽さのほうが長い目では効いてきます。

個人事業主として長く事業を続けてきた方が法人成りをする場合、この先も長く続く前提のはずです。そう考えると、維持の軽さは会社設立の判断材料として重く見てよい部分です。

何十年と続ける会社なら、この差は積み重なります。

出典No.7191 登録免許税の税額表 (国税庁/2026年8月26日確認)

会社設立そのものより、法人成りしたあとの設計で差がつきます

個人事業主のうちに決めておくこと(役員報酬・決算期・社会保険の入り方)は、あとから直すと手間もお金もかかります。法人成りの前後をまとめて見てくれる相手に、いちど当ててみるのが早道です。

無料で相談してみる

※ 当サイトは会計事務所SoVaの「士業伴走プラン」を紹介しています。同プランの設立サポートは freee会社設立 を利用する前提で、設立サポート手数料0円は顧問契約(月1.5万円〜)とあわせて依頼する場合の条件です。当サイトは一般的な解説であり、法人成りの判断や個別の税務は税理士などの専門家にご相談ください。最新の料金・条件は必ず公式ページでご確認ください。

会社設立の手続き

会社設立の手続きを表したイラスト
公証役場に行かなくて済みます

合同会社の設立手続きは、株式会社より簡素です。定款の認証がないので、公証役場に行く必要がありません。

合同会社の設立手続き
4つの段階で会社設立ができます

定款を作ったら、資本金を払い込みます。代表社員となる人の口座に振り込み、その通帳の写しを登記の添付書類にします。

そして法務局に設立登記を申請します。法務局は合同会社の設立登記についてオンライン申請の案内も出しています。

必要な書類は、設立登記申請書、定款、払込みがあったことを証する書面、代表社員の就任承諾書(必要な場合)、印鑑届書などです。

株式会社に比べると書類の数が少なくなります。個人事業主が自分で会社設立の手続きをする場合、合同会社のほうが取り組みやすいところです。

登記が完了すれば、登記事項証明書と印鑑証明書が取れるようになります。ここから先の手続きは株式会社と同じです。

税務署への届出、社会保険の手続き、法人口座の開設。法人成りの後半は、会社の種類にかかわらず同じ流れになります。

個人事業主が本業を止めずに会社設立を進めるなら、この日数の差も効いてきます。取引先の期日が迫っているときには、合同会社のほうが間に合わせやすくなります。

日数としては、公証役場の予約がないぶん1週間程度短くできることがあります。

出典合同会社の設立の登記をしたい方(オンライン申請) (法務局/2026年8月26日確認)

運営で気をつけること

運営で気をつけることを表したイラスト
軽くても、記録は残してください

合同会社の運営は株式会社より軽いのですが、まったく書類が要らないわけではありません。

重要な決定については、社員の同意を書面に残しておいてください。株式会社の株主総会議事録に当たるものです。

定款の変更、本店の移転、事業目的の追加。こうした場面では、社員の同意書を作ることになります。

ひとりで会社設立をした場合でも、自分の決定を書面にしておく意味はあります。あとから経緯をたどれるからです。

それから、決算書は作ります。決算公告の義務はありませんが、法人税の申告には決算書が必要です。ここは株式会社と同じです。

金融機関から融資を受けるときにも決算書を出します。公告の義務がないからといって、決算をしなくてよいわけではありません。

個人事業主のときの帳簿の付け方をそのまま持ち込むと、決算のときに困ります。法人としての記帳に切り替えてください。

帳簿と証憑の保存期間についても、法人には定めがあります。置き場所を決めておかないと、数年で書類があふれます。

会社設立の直後に、会計ソフトの設定と証憑の保存方法を決めておくのがおすすめです。

個人事業主のときは、自分の頭の中で決めて動けました。会社設立をすると、決めたことを形に残す習慣が要ります。ここは器の種類にかかわらず同じです。

運営が軽いことと、記録を残さなくてよいことは別の話です。

出典株式会社と合同会社の違いは?特徴とメリットを比較表でわかりやすく解説 (弥生/2026年8月26日確認)

あとから株式会社にすることもできる

あとから株式会社にすることもできるを表したイラスト
必要になったときに、変えれば足ります

合同会社で会社設立をしたあと、株式会社に変えることもできます。組織変更という手続きです。

組織変更の計画を作り、債権者に対する公告と催告をして、一定の期間を置いてから登記をします。時間は1か月以上かかるのが通常です。

官報の掲載料と、登記の登録免許税がかかります。会社設立をもう一度するほどではありませんが、それなりの費用です。

だから、変えるつもりが最初からあるなら、株式会社で会社設立をするほうが結局は安く済みます。

それでも、事業が育ってから判断するという進め方はあります。個人事業主から法人成りする段階では、数年先の姿が見えないことも多いからです。

実際に、まず合同会社で始めて、規模が大きくなってから組織変更する会社もあります。

外部から出資を受ける必要が出てきた、上場を目指すことになった。そういう段階で変えれば足ります。

いまの条件で選んで、必要になったら変える。この考え方でかまいません。

個人事業主から法人成りをする段階では、事業が伸びるかどうかも読みきれません。軽い器で始めて、必要になったら考える。この順番でかまいません。

会社設立の時点で完璧に決めようとしないでください。

出典商業・法人登記申請手続 (法務局/2026年8月26日確認)

まとめ|軽い器を、丁寧に使う

まとめ|軽い器を、丁寧に使うを表したイラスト
軽さを活かすには、最初が肝心です

合同会社は持分会社という種類で、出資した人がそのまま経営に関わる仕組みです。株式会社とは建て付けが違います。

代表者の肩書きは代表社員。持分の譲渡には他の社員の同意が要ります。定款の自由度は高く、認証も不要です。

  • 設立定款の認証が不要。書類も少なく、日数も短い
  • 維持役員の任期がなく、決算公告の義務もありません
  • 定款自由度が高いぶん、決めておかないと困ります
  • 変更あとから株式会社にもできますが、手間と費用がかかります

いちばんの強みは運営の軽さです。個人事業主が法人成りをして本業に集中したいなら、この器は向いています。

ただし、自由度が高いということは、自分で決めることが多いということでもあります。複数人で始めるなら、定款を丁寧に作ってください。

会社設立の実費が安いことより、この維持の軽さのほうが長い目では効いてきます。

出典小規模企業支援 | 中小企業庁 (中小企業庁/2026年8月26日確認)

定款に何を書くか、先に考えてみてください

ひとりで会社設立をするなら、標準的な内容で足ります。商号、事業目的、本店所在地、資本金、事業年度。この5つを決めれば、定款はほぼ作れます。

複数人で始めるなら、辞めるときの扱いと利益の配分を先に決めておいてください。合同会社は定款の自由度が高いぶん、決めておかないと困ります。

役員の任期がないのは、長く続けるほど効いてきます。個人事業主が法人成りをして本業に集中したいなら、この軽さは大きな強みです。

このページは役に立ちましたか。

押しても個人が特定される情報は送られません。数は同じ端末から一度だけ増えます。

運営者:サイト運営事務局

個人事業主の会社設立と法人成りについて、国税庁・法務局・日本年金機構などの一次情報を確かめながらまとめています。記事の内容は執筆時点の制度にもとづく一般的な解説です。個別の判断は税理士など専門家と、所管の官庁にご確認ください。

他にもこのようなサイトで検索されていますので、ぜひ見てください

この記事のテーマで実際に検索して出てきたサイトを並べました。並び順に優劣の意味はありません。個人事業主の会社設立や法人成りの扱いは、書き手によって前提の置き方が違います。数字は必ず一次情報でも確かめてください。

あわせて読むと、判断がはっきりします