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従業員がいる個人事業主が会社設立をしたら|雇い直しと、3つの窓口への届出

個人事業主 法人成り 従業員 公開 2026年9月2日 最終更新 2026年9月2日 運営者:サイト運営事務局 本文 約6,240字

人を雇っている個人事業主の方へ

従業員を雇っている個人事業主が会社設立をするとき、その人たちの雇用や保険をどう扱うのかを確かめたい、という場面のためのページです。

雇っている主体が変わります。 個人事業主が雇っていた人を、法人成りのあとは会社が雇う形になります。契約も保険も、いったん閉じて開き直すことになります。

しかも期限が短い。会社設立から5日以内という届出があります。段取りを先に決めておかないと間に合いません。

雇っているのは個人事業主か、会社か

雇っているのは個人事業主か、会社かを表したイラスト
働く人から見れば、何も変わりません

最初に構図を確かめます。個人事業主として人を雇っているとき、雇用契約の当事者はその個人事業主です。

会社設立をして事業を法人に移すと、実際にその人が働く相手は会社になります。ところが契約書の上では、雇っているのは個人事業主のままです。

法人成りをしたら、この食い違いを解消します。個人事業主としての雇用をいったん終わらせて、会社が改めて雇う形にするのが基本です。

働く本人から見れば、職場も仕事も同僚も変わりません。それでも、雇用主が変わるというのは法律上は大きな変化です。

だから、従業員には先に説明してください。会社設立をすることになった、雇用主が会社に変わる、労働条件はこう扱う。この3点を伝えます。

説明なしに手続きだけ進めると、健康保険証が変わったり、給与明細の会社名が変わったりして不安を与えます。個人事業主のときから支えてくれた人ほど、丁寧に伝えてください。

労働条件を変えないのであれば、その旨をはっきり言うだけで安心してもらえます。逆に、法人成りを機に条件を変えるなら、それは個別に合意が要る話です。

会社設立の準備段階で、この説明の時間を日程に入れておいてください。

会社設立の日と、雇用主が切り替わる日を一致させておくと説明が単純になります。

手続きの話は、そのあとです。

出典法人成り後の労働保険の手続きについて 社会保険との違いも解説 | 会社設立の基礎知識 – 小谷野税理士法人 (小谷野税理士法人/2026年9月2日確認)

雇用契約を、法人名義で結び直す

雇用契約を、法人名義で結び直すを表したイラスト
条件を下げるなら、同意が要ります

まず雇用契約です。個人事業主として結んだものを、会社設立をした法人の名義で結び直します。

労働条件通知書か雇用契約書を、法人名義で作り直して渡します。使用者の欄が個人事業主の氏名から会社の商号と代表者名に変わります。

労働条件そのものを変えないなら、内容は前のものをそのまま写せば足ります。賃金、労働時間、休日、業務の内容。

ここで条件を下げると、不利益変更になります。法人成りを理由に一方的に下げることはできないので、変えるなら本人の同意が要ります。

勤続年数の扱いも決めておきます。個人事業主のときからの期間を通算するのか、法人成りの日からやり直すのか。

年次有給休暇については、実質的に労働関係が継続していると見られる場合、勤続年数を通算して付与するのが自然な扱いとされています。会社設立を挟んでも働き続けているのですから、そのほうが実態に合います。

ここを断絶させると、従業員の有給が一度ゼロに戻ることになります。長く働いてくれている人ほど不利益が大きい。

だから、通算する前提で労働条件通知書に勤続年数の起算日を書いておくと、あとで揉めません。

就業規則がある場合は、法人のものとして作り直します。常時10人以上の労働者を使用する事業場では、就業規則の作成と届出が必要です。

会社設立を機に規程を整えるなら、退職金や慶弔の扱いもこの時点で決めておくと後がすっきりします。

出典個人事業主から法人化する場合、従たる事務所の設立時、会社所在地を移転する場合に必要な手続きとは – 労務サポート|社会保険・給与計算・助成金・労務相談のことなら (労務サポート/2026年9月2日確認)

年金事務所へ、5日以内

年金事務所へ、5日以内を表したイラスト
登記が終わってから5日と考えます

届出の話に入ります。いちばん期限が短いのが、社会保険です。

法人は、従業員が社長ひとりであっても社会保険の適用事業所になります。個人事業主のときは常時5人未満なら任意適用でしたが、法人成りをすると強制です。

提出するのは健康保険・厚生年金保険新規適用届。事実が発生してから5日以内に、管轄の年金事務所へ出します。

あわせて、被保険者となる人の被保険者資格取得届を出します。扶養している家族がいる人については、被扶養者異動届も添えます。

会社設立の登記が完了して登記事項証明書が取れないと、この届出はできません。だから、登記の完了から5日という感覚で動くことになります。

個人事業主として社会保険に加入していた場合は、そちらを終わらせる手続きも要ります。適用事業所の全喪の届出です。

従業員の側では、国民健康保険と国民年金から、健康保険と厚生年金に切り替わることが多くあります。手取りが変わるので、事前に伝えておいてください。

会社の側にも負担が生まれます。社会保険料はおおむね労使折半なので、従業員の人数分だけ会社負担が発生します。個人事業主のときになかった固定費です。

法人成りの資金計画には、この会社負担分を必ず入れてください。役員報酬と従業員の給与の両方にかかります。

出典事業所が健康保険・厚生年金保険の適用を受けようとするとき (日本年金機構/2026年9月2日確認)

労働基準監督署とハローワークへ

労働基準監督署とハローワークへを表したイラスト
監督署が先、ハローワークが後です

従業員がいる場合、労働保険の手続きもあります。窓口は2つで、回る順番が決まっています。

先に労働基準監督署です。保険関係成立届を出し、あわせて労働保険概算保険料申告書を提出します。保険関係が成立した日の翌日から10日以内という期限です。

そのあとハローワークへ行きます。雇用保険適用事業所設置届と、雇用保険被保険者資格取得届を出します。

労働基準監督署が先という順番は動かせません。労働保険番号が出てから、ハローワークの手続きに進む形だからです。

個人事業主として労働保険に加入していた場合の扱いは、少し複雑です。事業主が個人から法人に変わるため、原則としては法人として新たに保険関係を成立させることになります。

一方で、雇用保険については変更届で対応する運用が案内されている場合もあります。ここは扱いが分かれるので、必ず所轄の労働基準監督署とハローワークに確かめてください。

会社設立の前に電話で聞いておけば、当日に迷いません。個人事業主のときの労働保険番号を手元に置いて相談すると話が早い。

なお、法人成りをして社長になった本人は、原則として雇用保険と労災保険の対象外です。雇う側になるからです。

労災保険については特別加入という制度があります。現場に出る仕事なら、検討する価値があります。

出典労働保険の成立・変更手続きについて | みんなの社会保険 (みんなの社会保険/2026年9月2日確認)

会社設立の直後に、走る手続きを並べる

会社設立の直後に、走る手続きを並べるを表したイラスト
5日以内がいちばん厳しい期限です

従業員がいる個人事業主が法人成りをすると、会社設立の直後に複数の窓口へ動くことになります。期限の順に並べておきます。

従業員がいる場合の、会社設立の直後の届出
提出先 書類 期限の目安
年金事務所 健康保険・厚生年金保険新規適用届 事実の発生から5日以内
年金事務所 被保険者資格取得届・被扶養者異動届 新規適用届とあわせて
税務署 給与支払事務所等の開設届出書 開設の事実があった日から1か月以内
労働基準監督署 保険関係成立届・概算保険料申告書 成立の日の翌日から10日以内
ハローワーク 雇用保険適用事業所設置届・資格取得届 監督署の手続きのあと
税務署 法人設立届出書 設立の日以後2か月以内
税務署 青色申告の承認申請書 3か月経過日と第1期末の早いほうの前日まで

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期限は所管の案内にもとづく目安です。個人事業主側で閉じる手続きも別にあります。実際の提出前に各窓口でご確認ください。

こうして並べると、5日以内の社会保険がいちばん厳しいことが分かります。登記が終わったらすぐ動く必要があります。

そして、どの手続きにも登記事項証明書が要ります。法務局で複数枚まとめて取っておくと、窓口を回るときに足りなくなりません。

印鑑証明書も同じです。何枚要るかを先に数えて、まとめて取ってください。

個人事業主のときは、開業届と青色申告承認申請書の2枚で済んでいました。会社設立をすると、窓口の数からして違います。

従業員がいる分だけ、手続きは増えます。社会保険労務士に頼む選択が現実的になるのはこの規模からです。

登記が終わってからの動き
会社設立の直後は、窓口を回る時期になります

会社設立の直後は判断することが多く、記憶に頼ると必ずどこかが抜けます。

この順番を紙に書いて持ち歩くと、抜けが出ません。

出典会社設立後の労働保険及び社会保険 | 社会保険労務士法人 おむろ人事サービス 水戸事務所・東京みなと事務所 (社会保険労務士法人おむろ人事サービス/2026年9月2日確認)

会社設立そのものより、法人成りしたあとの設計で差がつきます

個人事業主のうちに決めておくこと(役員報酬・決算期・社会保険の入り方)は、あとから直すと手間もお金もかかります。法人成りの前後をまとめて見てくれる相手に、いちど当ててみるのが早道です。

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個人事業主の側を閉じる

個人事業主の側を閉じるを表したイラスト
閉じる側と開く側を、対で書きます

法人側で開く手続きの裏に、個人事業主の側で閉じる手続きがあります。ここが抜けやすい。

税務署には、給与支払事務所等の廃止の届出を出します。廃止の事実があった日から1か月以内です。

従業員に給与を払っていた個人事業主は源泉徴収義務者だったので、それを終わらせる届出です。法人側の開設届と対になっています。

社会保険に加入していた場合は、適用事業所の全喪の手続きがあります。従業員については資格喪失の届出も要ります。

労働保険については、個人事業主としての保険関係を消滅させる手続きがあります。確定保険料の申告と精算も伴います。

それから、個人事業の開業・廃業等届出書と、所得税の青色申告の取りやめ届出書。こちらは事業そのものを閉じる届出です。

会社設立をすると、こうして「個人事業主として閉じる」「法人として開く」という対の作業がいくつも並びます。片方だけやって満足しないでください。

一覧を作って、閉じる側と開く側を並べて書いておくと抜けが減ります。左に個人、右に法人と書いて、線でつなぐ形です。

従業員がいる個人事業主の法人成りは、この対が多くなります。だから手続きが重く感じられます。

出典法人成り後の労働保険の手続きについて 社会保険との違いも解説 | 会社設立の基礎知識 – 小谷野税理士法人 (小谷野税理士法人/2026年9月2日確認)

給与計算と年末調整が、会社の仕事になる

給与計算と年末調整が、会社の仕事になるを表したイラスト
項目が増え、会社負担も生まれます

手続きが終わると、今度は毎月の作業が始まります。

従業員の給与から所得税を源泉徴収し、社会保険料と雇用保険料を控除して、手取りを計算する。個人事業主のときからやっていた方も多いはずですが、法人成りをすると項目が増えます。

増えるのは社会保険料です。個人事業主のときに任意適用で入っていなければ、健康保険と厚生年金の控除が新しく出てきます。

そして、会社が負担する分を毎月納めます。労使折半なので、控除した額と同じくらいを会社が上乗せして払う形です。

源泉所得税は、原則として翌月10日までに納めます。給与を支払う人数が常時10人未満なら、納期の特例で年2回にまとめられます。

年末には年末調整があります。従業員から控除の申告書を集めて、税額を精算し、源泉徴収票を作り、給与支払報告書を市町村へ出す。

この一連の作業は、従業員の人数が増えるほど重くなります。会社設立の初年度に仕組みを作っておくと、あとが楽です。

給与計算ソフトを入れて、社会保険の料率や税額表の更新を自動で反映させる形にしておくのが現実的です。

個人事業主のときに手作業でやっていた方は、法人成りを機に切り替えてください。

出典社会保険の新規適用とは?役員・従業員が加入する手続きを徹底解説 | 顧問料0円の社会保険手続き・給与計算ならスポット社労士くん (スポット社労士くん/2026年9月2日確認)

助成金という側面もある

助成金という側面もあるを表したイラスト
届出が、入口の条件になります

負担の話ばかりでしたが、従業員を雇っていることで使える制度もあります。

雇用に関する助成金の多くは、労働保険に加入していることが要件になっています。手続きをきちんとしていれば、その対象になり得るということです。

人材を育てる訓練に対するもの、雇用を継続するためのもの、労働環境を整えるためのもの。厚生労働省の所管でいくつもの制度があります。

会社設立をした直後に使えるものは限られますが、事業が続いていくなかで該当する場面が出てきます。

要件は制度ごとに細かく、書類も多い。社会保険労務士に相談するのが早い分野です。

重要なのは、労働保険の手続きを済ませていないと入口に立てないということです。届出を後回しにすると、あとで機会を逃します。

個人事業主のときに従業員を雇いながら手続きをしていなかった場合、法人成りは整える機会になります。

それから、会社設立をすると社会的な信用が上がるので、採用の面でも動きやすくなります。求人を出したときの反応が変わることがあります。

会社設立をしたあとに使える制度は年度ごとに変わるので、年に一度は確かめてください。

負担が増えるぶん、使える制度も増える。そういう構図だと考えてください。

出典法人化した場合の労働保険、社会保険の手続き | 柏谷横浜社労士事務所|横浜市の社会保険労務士事務所 (柏谷横浜社労士事務所/2026年9月2日確認)

まとめ|閉じて開く、そして5日以内

まとめ|閉じて開く、そして5日以内を表したイラスト
説明を先に、手続きは期限順に

従業員がいる個人事業主が会社設立をすると、雇用契約も保険も法人へ移し替えることになります。

  • 雇用契約法人名義で結び直します。条件を下げるなら本人の同意が要ります
  • 有給の勤続年数実質的に継続しているなら通算するのが自然です。起算日を書面に残します
  • 社会保険法人は全部が適用事業所。新規適用届は事実の発生から5日以内
  • 労働保険労働基準監督署が先、ハローワークが後。順番は動かせません

個人事業主の側を閉じる手続きも忘れないでください。給与支払事務所等の廃止、社会保険の全喪、労働保険の消滅。開く側と対になっています。

手続きが終われば、毎月の給与計算と年末調整が会社の仕事になります。法人成りの初年度に仕組みを作っておくと、あとが楽になります。

そして、従業員への説明を手続きより先にしてください。職場は変わらないのに雇用主が変わるので、伝えなければ不安になります。

ここに書いた内容は2026年9月時点の一般的な整理です。労働保険の扱いは所轄の窓口によって案内が異なることがあります。実際の手続きの前に、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークか社会保険労務士にご確認ください。

出典【会社設立後の社会保険の手続き】やるべき手続きと必要書類について解説 (IDEMAE/2026年9月2日確認)

従業員には、手続きより先に伝えてください

職場も仕事も変わらないのに、雇用主だけが変わります。説明がないまま健康保険証や給与明細の名前が変わると、不安を与えます。個人事業主のときから支えてくれた人ほど、丁寧に。

社会保険の新規適用届は、事実の発生から5日以内です。会社設立の登記が終わったらすぐ動く必要があるので、登記事項証明書は複数枚まとめて取っておいてください。

労働保険の扱いは所轄の窓口で案内が分かれることがあります。個人事業主のときの労働保険番号を手元に、事前に電話で確かめてください。人数が多い場合は社会保険労務士にご相談ください。

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個人事業主の会社設立と法人成りについて、国税庁・法務局・日本年金機構などの一次情報を確かめながらまとめています。記事の内容は執筆時点の制度にもとづく一般的な解説です。個別の判断は税理士など専門家と、所管の官庁にご確認ください。

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