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法人成りのあと、個人の口座はどうする|会社のお金と自分のお金を分ける線引き

個人事業主 法人成り 銀行口座 公開 2026年9月1日 最終更新 2026年9月1日 運営者:サイト運営事務局 本文 約5,907字

個人の口座をどうするか迷っている方へ

個人事業主のときから事業に使ってきた口座がある。法人成りをしたあと、それをどうすればいいのか。解約するのか、残すのか。そこを決めたい方に向けたページです。

残しますが、役割を変えます。 事業のお金は法人口座へ、個人の口座は生活と個人の申告のために使う。この線引きを作ることが、会社設立のあとの最初の仕事です。

線が引けていないと、あとで税務上の説明ができなくなります。移行期に個人口座へ入ってしまった入金の整理も含めて、順に見ていきます。

個人事業主のときは、混ざっていても回っていた

個人事業主のときは、混ざっていても回っていたを表したイラスト
分けるかどうかは、手間の問題でした

まず、個人事業主のときの状態を確かめておきます。

個人事業主には、事業用の口座と生活用の口座を分ける義務がありません。ひとつの口座で売上を受けて、そこから生活費も払う。この形でも申告はできました。

分けたほうがよいと言われていたのは、手間の問題です。会社設立をする前は、混ざっていても入出金の明細から事業の取引を拾い出せば済みました。

それでも、事業のお金と自分のお金は最終的に同じものでした。事業の利益がそのまま自分の所得になるので、分けなくても筋は通っていた。

屋号付きの口座を作っていた方もいるはずです。取引先からの信用や、記帳のしやすさを考えてのことでしょう。それでも、名義は個人でした。

会社設立をすると、この前提が崩れます。会社のお金と自分のお金は、別のものになるからです。

法人成りをした瞬間に、混ぜてはいけないものになる。ここが感覚として切り替えにくいところです。

個人事業主として長くやってきた方ほど、会社設立のあとのこの切り替えに時間がかかります。

出典個人事業主が預金口座を「事業用」と「生活用」に分けないとどうなる? – 確定申告お役立ち情報 – 弥生株式会社【公式】 (弥生株式会社/2026年9月1日確認)

法人成りをすると、混ぜられなくなる

法人成りをすると、混ぜられなくなるを表したイラスト
会社と個人は、別人格になります

会社設立をすると、会社は自分とは別の人格になります。会社の財産は会社のもので、自分のものではありません。

だから、会社設立のあとに法人の売上を個人名義の口座で受け続けることはできません。会社のお金が個人の口座に入っている状態になるからです。

逆に、会社のお金で個人の買い物をするのも同じ問題です。会社から個人へお金が流れたことになり、役員に対する貸付けや、給与として扱われることがあります。

個人事業主のときは、事業の口座から生活費を引き出しても事業主貸として処理すれば済みました。同じ人のお金の移動だからです。

法人成りをすると、その移動が会社と個人という別人格の間の取引になります。理由と記録が要るということです。

会社設立をしたあと、会社から個人にお金を渡す正当な方法は限られています。役員報酬、経費の精算、配当、退職金。どれも手続きと記録が要ります。

だから、法人口座と個人口座の間の資金の移動は、必ず理由が説明できる形にしてください。何となく引き出す、ということができなくなります。

個人事業主のときと、法人成りのあと
会社設立を境に、扱いが変わります

この構図を頭に入れてから、口座の役割を決めていきます。

出典個人事業主のときの事業用の個人名義口座は法人成りしたときどうすべきか – 【近江八幡・滋賀】税理士|澤田匡央税理士事務所 (澤田匡央税理士事務所/2026年9月1日確認)

個人事業主のときの口座は、残しておく

個人事業主のときの口座は、残しておくを表したイラスト
役割を変えて、残しておきます

結論から書くと、個人事業主のときに使っていた口座は解約しないほうがよいことが多くあります。

理由のひとつは、会社設立をした年の個人の確定申告があるからです。廃業日までの事業所得を申告するので、その期間の入出金の記録が要ります。

通帳の履歴は、あとから確かめる材料になります。解約してしまうと、明細を取り寄せる手間が出ます。

もうひとつは、移行期の入金です。取引先の振込先の変更が間に合わず、個人口座に入ってくることがあります。口座がなければ受けられません。

それから、会社設立の前からの経費の引き落としがまだ残っていることもあります。契約を法人名義に切り替えるまでの間は、個人口座から落ち続けます。

そして、法人成りのあとは役員報酬の受け取り先として使えます。会社から自分へ振り込む先が要るからです。

屋号付きの口座については、屋号を外して個人名義に戻すか、そのまま残すかを銀行に確かめてください。事業をやめた以上、屋号を使い続ける根拠が薄くなります。

残す場合も、役割ははっきりさせてください。事業の入出金には使わない、と決めておくことです。

会社設立から半年か1年経って、動きがなくなったところで整理すればよい。急いで解約する必要はありません。

出典個人事業主のときの事業用の個人名義口座は法人成りしたときどうすべきか – 【近江八幡・滋賀】税理士|澤田匡央税理士事務所 (澤田匡央税理士事務所/2026年9月1日確認)

移行期に個人口座へ入った売上を、どう整理するか

移行期に個人口座へ入った売上を、どう整理するかを表したイラスト
どちらの取引かは、日付で決まります

実務でいちばん多い相談がここです。会社設立を済ませたのに、売上が個人口座に入ってきた。

原因は単純で、会社設立を伝えても取引先の振込先の登録が変わっていないからです。連絡しても、相手の経理の処理が翌月になることもあります。

大事なのは、その売上がどちらのものかを取引の日付で判断することです。入金された口座で判断してはいけません。

法人成りの日より後に発生した取引なら、法人の売上です。個人口座に入っていても、法人の帳簿に計上します。

そのうえで、個人が法人に代わって受け取ったという形で処理します。個人から法人へその金額を移し、記録を残す。

逆に、廃業日より前に発生した取引の入金が遅れて法人成りのあとに来た場合は、個人の事業所得です。法人の売上にはなりません。

この線引きを曖昧にしたまま放置すると、二重に計上したり、逆に計上が漏れたりします。税務調査で指摘されれば、加算税の話になります。

だから、会社設立の日を境に、どの取引がどちら側かの一覧を作ってください。請求書の日付と、入金の日付の両方を並べておくと分かりやすい。

経費についても同じです。個人口座から引き落とされた法人の経費があれば、法人が個人に精算する形で処理します。

記録さえ残しておけば、あとから説明できます。困るのは、何も残っていない場合です。

出典「個人の口座に売上が入っていた期間」がある法人成り経営者へ——移行期の売上・経費の正しい切り分けと整理術 (平川文菜税理士事務所/2026年9月1日確認)

振込先の切り替えを、どう進めるか

振込先の切り替えを、どう進めるかを表したイラスト
案内の文面は、先に作っておけます

移行期を短くするには、切り替えを早く終わらせるしかありません。段取りを決めておきます。

法人口座ができたら、まず取引先へ案内を出します。会社設立をした旨、新しい商号、新しい振込先。この3つを1枚にまとめておきます。

案内の文面は、口座ができる前に作っておけます。口座番号の欄だけ空けておいて、決まったら埋めて送る。これで数日縮まります。

請求書の様式も、法人名義に直しておきます。会社設立で決めた商号、本店の所在地、振込先、そして適格請求書発行事業者の登録番号。法人として登録した番号に変わります。

継続的な取引先には、電話や訪問で伝えたほうが確実です。書面だけだと、経理まで届かないことがあります。

そのうえで、切り替えが済んだかどうかを取引先ごとに管理してください。入金を確認して、法人口座に入っていれば完了です。

引き落としのほうも同時に進めます。通信費、リース、サブスクリプション、保険。契約を法人名義に切り替えて、引き落とし口座を法人口座にします。

契約の切り替えには相手の手続きが要るので、時間がかかるものがあります。会社設立をすると決めた時点で、契約の一覧を作っておくと動きやすい。

個人事業主のときから使っているサービスほど、切り替えを忘れがちです。明細を見て、引き落としが残っていないか毎月確かめてください。

出典法人口座開設の審査をスムーズに進める!審査落ちしないポイントとは? | 会社設立の基礎知識 – 小谷野税理士法人 (小谷野税理士法人/2026年9月1日確認)

役員報酬は、必ず振込で

役員報酬は、必ず振込でを表したイラスト
通帳が、そのまま記録になります

法人口座から個人口座への正当な資金の移動として、いちばん基本になるのが役員報酬です。

毎月決まった日に、決まった額を法人口座から自分の個人口座へ振り込みます。これが定期同額給与の形です。

現金で受け取ることもできますが、避けたほうがよい。記録が残らないので、いつ、いくら払ったかを説明しにくくなります。

振込にしておけば、通帳がそのまま記録になります。税務調査の場面でも、毎月同額が動いていることを示せます。

それから、会社設立のあとの役員報酬からは源泉所得税と社会保険料が引かれます。手取りが振り込まれる形になるので、額面と振込額は一致しません。

個人事業主のときは、事業の口座から必要なときに必要な額を引き出していたはずです。会社設立をすると、毎月同じ額が入ってくる形に変わります。

生活のリズムが変わるということでもあります。事業の入金が多い月に多く使う、ということができなくなります。

だから、役員報酬の額を決めるときは、生活費として毎月いくら要るかを先に計算してください。法人成りの直後にここを見誤ると、資金繰りが苦しくなります。

足りなくなったからといって、法人口座から個人が引き出すのは避けてください。役員貸付金として残り、決算書に載ります。

出典法人の銀行口座の開設について|福永俊明税理士事務所 (福永俊明税理士事務所/2026年9月1日確認)

会社設立そのものより、法人成りしたあとの設計で差がつきます

個人事業主のうちに決めておくこと(役員報酬・決算期・社会保険の入り方)は、あとから直すと手間もお金もかかります。法人成りの前後をまとめて見てくれる相手に、いちど当ててみるのが早道です。

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経費の立替えと精算

経費の立替えと精算を表したイラスト
立て替えたら、精算して戻します

実務では、個人が法人の経費を立て替える場面がよく出てきます。

出先で個人のカードで払った、法人カードがまだ届いていない、少額なので現金で払った。会社設立の直後はとくに多い場面です。

この場合、法人が個人に精算します。領収書を法人に提出し、法人口座から個人口座へその額を振り込む。これで筋が通ります。

精算せずに放置すると、個人が法人に貸している状態になります。役員借入金として決算書に載り、いつか返すことになります。

少額なら、月ごとにまとめて精算するのが現実的です。会社設立の直後から、立替精算書を作って領収書を添え、月末に振り込む形にしておきます。

逆に、法人のお金で個人の買い物をしてしまった場合は、個人が法人に返します。放置すると役員貸付金になり、利息の計算まで求められることがあります。

個人事業主のときは、こうした処理が要りませんでした。事業主貸と事業主借で片づいたからです。

法人成りをすると、会社と個人の間のお金の動きにひとつずつ理由が要ります。面倒ですが、これが会社を持つということです。

法人カードを早めに作って、経費の支払いをそちらに寄せると、立替えそのものが減ります。

出典個人事業主が預金口座を「事業用」と「生活用」に分けないとどうなる? – 確定申告お役立ち情報 – 弥生株式会社【公式】 (弥生株式会社/2026年9月1日確認)

会計ソフトと口座をつないでおく

会計ソフトと口座をつないでおくを表したイラスト
つなぐのは、法人の口座とカードだけ

線引きを維持するには、仕組みで支えるのがいちばん確実です。

会社設立のあと、会計ソフトと法人口座を連携させると、入出金の明細が自動で取り込まれます。手で入力する手間が減り、記帳の遅れも起きにくくなります。

法人カードも同じように連携できます。経費の支払いをカードに寄せておけば、明細がそのまま仕訳の元になります。

こうしておくと、月ごとに帳簿を締める形が作れます。法人成りをすると決算と申告が事業年度で来るので、月次で締める習慣が効いてきます。

個人事業主のときに年末まとめて入力していた方は、この機会に変えてください。会社設立をすると、資料の量が増えて後追いが難しくなります。

連携できる金融機関はソフトによって違います。会社設立のときにどの銀行を選ぶかは、ここも判断材料になります。

それから、個人の口座は法人の会計ソフトにつながないでください。混ざる原因になります。つなぐのは法人口座と法人カードだけです。

線引きを頭で覚えるのではなく、つながっているものを分けることで自然に守れる形にする。これがいちばん続きます。

会社設立の直後に設定してしまえば、その時間は数か月で取り返せます。

出典【税理士解説】会社設立時の資本金の払込方法~証明書類の作成方法|起業応援ナビ (GMOあおぞらネット銀行/2026年9月1日確認)

まとめ|線を引いて、記録に残す

まとめ|線を引いて、記録に残すを表したイラスト
記録があれば、あとから説明できます

法人成りをすると、会社のお金と自分のお金は別のものになります。個人事業主のときのように混ぜることはできません。

  • 個人の口座解約せず、役割を変えて残します。役員報酬の受け取り先になります
  • 移行期の入金入金された口座ではなく、取引の日付でどちらのものかを決めます
  • 会社から個人へ役員報酬、経費の精算、退職金など。必ず理由と記録を残します
  • 仕組み法人口座と法人カードを会計ソフトにつなぐ。個人の口座はつなぎません

会社設立の直後は、振込先の切り替えと引き落としの切り替えが同時に来ます。案内の文面と契約の一覧を先に作っておくと、動きが早くなります。

移行期に個人口座へ入った売上は、あとから整理できます。困るのは記録が何も残っていない場合なので、日付を並べた一覧だけは作ってください。

個人事業主として長くやってきた方ほど、感覚の切り替えに時間がかかります。仕組みで支えるのが現実的です。

ここに書いた内容は2026年9月時点の一般的な整理です。個別の処理は状況によって変わります。移行期の扱いに迷う部分は、税理士にご確認ください。

出典個人事業主のときの事業用の個人名義口座は法人成りしたときどうすべきか – 【近江八幡・滋賀】税理士|澤田匡央税理士事務所 (澤田匡央税理士事務所/2026年9月1日確認)

会社設立の日を境に、一覧を1枚作ってください

どの取引が個人事業主のもので、どこから法人のものか。請求書の日付と入金の日付を並べておけば、移行期の整理はあとからでもできます。

個人事業主のときの口座は、急いで解約しないでください。廃業日までの申告に使いますし、役員報酬の受け取り先にもなります。役割を変えて残すのが現実的です。

会社から個人へお金を動かすときは、必ず理由と記録を残してください。判断に迷う処理は、その年の確定申告の前に税理士へご相談ください。

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個人事業主の会社設立と法人成りについて、国税庁・法務局・日本年金機構などの一次情報を確かめながらまとめています。記事の内容は執筆時点の制度にもとづく一般的な解説です。個別の判断は税理士など専門家と、所管の官庁にご確認ください。

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