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法人成りで名義を変える契約は何本あるか|会社設立のあと、どこから手をつけるか

個人事業主 法人成り 契約 名義変更 公開 2026年9月2日 最終更新 2026年9月2日 運営者:サイト運営事務局 本文 約6,181字

何を変えればいいのか分からない方へ

個人事業主から会社設立を済ませて、これから契約の名義を切り替えていく方に向けたページです。数が多くて、どこから手をつけるか迷っているという場面のためのものです。

全部を同時には動かせません。 相手のある手続きが多いので、時間がかかるものと、すぐ終わるものが混ざります。

だから順番を決めます。売上に直結するものが最優先。その理由と、抜けやすいところを順に見ていきます。

名義を変える対象を、まず全部書き出す

名義を変える対象を、まず全部書き出すを表したイラスト
記録から拾えば、抜けません

法人成りをして最初にやることは、対象を全部書き出すことです。順番を決めるにも、全体が見えていないと決められません。

個人事業主として何年も営業してきた方ほど、契約の数が多くなっています。しかも、締結したことを忘れているものがあります。

書き出すときのコツは、記憶に頼らないことです。通帳の引き落としの明細、クレジットカードの利用明細、それからメールの受信箱。ここを見れば、契約している相手が出てきます。

毎月の引き落としを1年分さかのぼると、年払いの契約も拾えます。年に一度しか動かないものは、記憶からいちばん抜けます。

それから、紙の書類も見てください。事務所の賃貸借契約書、リース契約書、保険証券。ファイルにまとめてあるはずのものです。

会社設立の準備をしている段階で、この棚卸しを始めておくと楽になります。登記が終わってから始めると、他の手続きと重なります。

書き出したら、それぞれについて「誰の承諾が要るか」「どれくらい時間がかかるか」を書き添えます。これが順番を決める材料になります。

名義変更の対象を洗い出す手がかり
記憶ではなく、記録から拾ってください

数が見えると、会社設立のあとの日程の組み方が変わります。

出典会社設立後に契約名義の変更が必要な場合 – 東京 会社設立パートナーズ (会社設立パートナーズ/2026年9月2日確認)

売上に直結するものから動かす

売上に直結するものから動かすを表したイラスト
第1期の売上高に、直接効いてきます

順番の話に入ります。法人成りをしたあと最優先になるのは、売上に関わる部分です。

理由は、法人成りの第1期の売上高に直接効いてくるからです。取引先との契約が個人事業主の名義のままだと、その売上が法人のものなのか個人のものなのか、あとで説明しにくくなります。

それから、入金先の口座です。振込先の変更が済んでいないと、法人の売上が個人の口座に入り続けます。これも帰属の説明が要る状態です。

だから、取引先への案内と請求書の切り替えを最初にやります。法人口座ができたら、その日のうちに案内を出せるよう準備しておいてください。

具体的には、会社設立をした旨、新しい商号、新しい振込先、そして適格請求書発行事業者の登録番号。この4つを1枚にまとめた案内を作ります。

継続的な取引がある相手には、基本契約書を法人名義で結び直します。個人事業主として結んだ契約が残っていると、法人が請求する根拠が弱くなります。

大口の取引先ほど、会社設立の前から話を通してください。相手の社内手続きに時間がかかることがあるからです。

小口の取引や、単発の仕事については、次の請求のタイミングで切り替えれば足ります。

個人事業主のときは、契約書を交わさずに仕事をしていた相手もいるはずです。会社設立を機に、書面を作る相手を増やしておくと、あとの説明が楽になります。

出典個人事業主から法人へ「法人成り(法人化)する際の手続きは?自分でもできる?」 | マネーフォワード クラウド会社設立 (株式会社マネーフォワード/2026年9月2日確認)

次に、費用の引き落としを切り替える

次に、費用の引き落としを切り替えるを表したイラスト
宛名が法人なら、説明が楽になります

売上の次は、費用のほうです。法人成りをすると、ここも全部つけ替えることになります。

個人事業主のときに契約したものは、引き落としも個人口座から続きます。放っておくと、法人の経費を個人が払い続ける状態になります。

それ自体は精算すれば処理できますが、会社設立の直後から毎月手作業が発生します。件数が多いと、記帳の手間がそのまま増える。

だから、金額の大きいものから順に切り替えます。事務所の家賃、リース料、通信費、保険料。このあたりが上位に来ることが多い。

契約の名義を法人に変えると、請求書の宛名も法人になります。宛名が法人であれば、法人の経費であることを説明しやすくなります。

逆に、宛名が個人のままの領収書ばかりだと、法人の経費なのかどうかを毎回説明することになります。会社設立の直後はこれが増えがちです。

切り替えの手続きは、相手によって難しさが違います。書面を出すだけで済むものもあれば、審査が要るものもあります。

サブスクリプションのように、いったん解約して法人名義で契約し直すほうが早いものもあります。契約の継続にこだわらず、手間の少ない方法を選んでください。

個人事業主として使ってきたサービスほど、切り替えを忘れます。毎月の明細を見て、個人口座から落ちているものが減っていくかを確かめてください。

出典個人事業主から法人化したとき、やるべきこと(契約書編)|規約作成・協会設立の専門家@みやはら総合法務事務所 (みやはら総合法務事務所/2026年9月2日確認)

インボイスの登録番号は、引き継げない

インボイスの登録番号は、引き継げないを表したイラスト
新しい番号を、案内に入れてください

請求書まわりで、法人成りのときに必ず出てくるのがインボイスの登録番号です。

適格請求書発行事業者の登録は、事業者ごとに受けるものです。個人事業主として登録していた番号を、会社設立をした法人が引き継ぐことはできません。

法人として登録するには、設立後に適格請求書発行事業者の登録申請書を税務署に出します。番号は新しいものになります。

だから、請求書の様式を直すときに、この番号も差し替えることになります。古い番号のまま出してしまうと、相手が仕入税額控除を受けられない可能性があります。

それから、新しく設立した法人が設立の初日から登録を受けたい場合には、登録時期の特例があります。事業を開始した日の属する課税期間の初日から登録を受けようとする旨を書いた申請書を、その課税期間の末日までに出す形です。

免税事業者として設立した法人が初日から登録を受けたい場合は、課税事業者選択届出書もあわせて出すことになります。免税の期間を捨てることになるので、そこは判断が要ります。

取引先が課税事業者ばかりなら登録したほうがよく、消費者向けの事業なら急がなくてもよい。会社設立の前に、取引先の顔ぶれを見て決めてください。

個人事業主のときに登録していた分は、廃業に伴って効力がなくなります。登録の取消しの手続きが要るかどうかは、税務署に確かめてください。

番号が変わることを取引先に伝えるのも、法人成りに伴う名義変更の一部です。振込先と一緒に案内してしまうのが効率的です。

出典D1-64 適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用) (国税庁/2026年9月2日確認)

相手の承諾が要るものは、早めに動く

相手の承諾が要るものは、早めに動くを表したイラスト
無断でよいわけではありません

法人成りの名義変更には、自分の判断だけで進められるものと、相手の承諾が要るものがあります。

承諾が要る代表が、事務所や駐車場の賃貸借契約です。賃借人が個人から法人に変わるので、貸主の同意が必要になります。

法的な整理としては、貸主の承諾を得ずに個人の契約のまま法人が使い続けると、形式的には賃借権の無断譲渡または無断転貸に当たるとされています。

ただし、判例の考え方では、経営の実態や建物の使用状況に格別の変化がない場合には、背信的行為と認めるに足りない特段の事情があるとして、契約の解除は許されないと整理されています。

つまり、個人事業主が法人成りをして同じ事業を続けているだけなら、それだけで契約を切られることは考えにくい。ただ、無断でよいという話ではありません。

実務としては、会社設立の前に貸主か管理会社へ相談してください。名義を変えるのか、そのままにして覚書を交わすのか、扱いは物件によって違います。

名義を法人に変える場合、審査が入ることがあります。設立したばかりの法人は決算書がないので、代表者の個人保証を求められることもあります。

保証会社を使っている物件では、保証の契約も結び直しになります。ここも時間がかかる部分です。

リース契約も同様で、会社設立をした法人としてリース会社の審査を経て名義を変えることになります。断られれば、いったん解約して契約し直す形になります。

だから、承諾が要るものは会社設立の準備段階から動かしてください。登記が終わってから始めると、間に合いません。

出典個人営業の賃借人が法人化した場合の賃貸借契約における借家権無断譲渡又は無断転貸の当否 | 公益財団法人不動産流通推進センター (公益財団法人不動産流通推進センター/2026年9月2日確認)

会社設立そのものより、法人成りしたあとの設計で差がつきます

個人事業主のうちに決めておくこと(役員報酬・決算期・社会保険の入り方)は、あとから直すと手間もお金もかかります。法人成りの前後をまとめて見てくれる相手に、いちど当ててみるのが早道です。

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すぐ終わるものと、後回しでよいもの

すぐ終わるものと、後回しでよいものを表したイラスト
相手のある手続きから、先に動かします

会社設立のあとの優先順位をつけるには、後回しにしてよいものを決めることも必要です。

後回しでよいのは、金額が小さく、法人の経費として精算すれば済むものです。少額のサブスクリプション、書籍の定期購読など。

それから、契約の期間が残り少ないもの。更新の時期が近いなら、そのタイミングで法人名義に切り替えるほうが手間が少なくて済みます。

逆に、すぐ終わるものは先に片づけてしまいます。ウェブ上の手続きだけで名義を変えられるサービスなどです。

会社設立の直後は税務署や年金事務所への届出に期限があるので、そちらが優先です。名義変更に期限が決まっているものは多くありません。

ただし、許認可が絡むものは別です。許可が要る事業では、許可の手続きが全体の日程を決めます。

それから、従業員がいる場合の雇用関係。個人事業主として雇っていた人を法人が雇い直す形になるので、社会保険や雇用保険の手続きと一緒に進めます。ここは期限があります。

名義変更の優先順位(急ぐ度合いと、相手の関与)
会社設立の前から動かせるものは、動かしておきます

この4つに仕分けると、どこから手をつけるかが見えます。

出典会社設立後に契約名義の変更が必要な場合 – 東京 会社設立パートナーズ (会社設立パートナーズ/2026年9月2日確認)

見落とされやすいもの

見落とされやすいものを表したイラスト
年払いと公共料金が、いちばん抜けます

法人成りのときに抜けやすいものを挙げておきます。どれも、あとになって気づくものです。

年払いの契約。ドメイン、サーバー、業界団体の会費、賠償責任保険。1年に一度しか引き落とされないので、通帳を見ていても気づきにくい。

公共料金。事務所の電気やガス、水道。個人名義のまま法人が使っていることがあります。

固定電話と携帯電話。事業用に使っているなら、法人名義に変えたほうが経費の説明が楽になります。

インターネット回線。工事を伴う契約は、名義変更の手続きが煩雑なことがあります。

クレジットカードの決済サービス。売上の入金経路なので、実は優先度が高いのに忘れられがちです。

それから、取引先のシステムに登録している情報。発注先マスタの名称や振込先が古いままだと、法人口座に入金されません。

印章も見落としがちです。個人事業主のときの角印や請求書の押印を、法人のものに替えます。

そして、ホームページや名刺、封筒の表記。会社設立をしたのに個人事業主のときの表記が残っていると、取引先が混乱します。

これらは期限がないぶん、後回しにされ続けます。棚卸しの一覧に入れて、消し込んでいってください。

出典個人事業主から法人化したとき、やるべきこと(契約書編)|規約作成・協会設立の専門家@みやはら総合法務事務所 (みやはら総合法務事務所/2026年9月2日確認)

切り替えの記録を残す

切り替えの記録を残すを表したイラスト
いつ変えたかを、書き残してください

実務の話をひとつ。会社設立をしたあと、名義を変えた日付を記録しておいてください。

理由は、その契約にかかる費用がいつから法人の経費になるのかを判断するためです。個人事業主の期間と法人の期間で、経費の帰属が分かれます。

会社設立をした年は、個人の確定申告と法人の決算が並びます。その両方で、どちらの経費かを判断することになります。

契約ごとに「いつまで個人、いつから法人」を書いておけば、その判断がすぐつきます。あとから思い出そうとすると、時間がかかります。

同じことが売上についても言えます。どの取引先と、いつから法人として契約したのか。ここを一覧にしておいてください。

それから、切り替えが済んでいない契約も記録します。個人名義のままの契約が残っている場合、その費用は個人が負担しているのか、法人が精算しているのかを決めておきます。

この一覧は、会社設立をした年の申告のときにそのまま使えます。税理士に依頼するなら、渡す資料としても役立ちます。

表計算ソフトで1枚作れば足ります。契約の名前、相手、金額、切り替えの日付、精算の有無。この5列で十分です。

個人事業主のときは、こうした管理をしていなくても回っていました。会社設立をすると、2つの主体をまたぐぶん記録が要ります。

出典個人事業主から法人へ「法人成り(法人化)する際の手続きは?自分でもできる?」 | マネーフォワード クラウド会社設立 (株式会社マネーフォワード/2026年9月2日確認)

まとめ|売上から始めて、記録を残す

まとめ|売上から始めて、記録を残すを表したイラスト
順番を決めて、記録を残してください

法人成りをすると、名義を変える契約が一気に出てきます。全部を同時には動かせないので、順番を決めます。

  • 最優先取引先との契約と振込先。法人成りの第1期の売上高に直接効いてきます
  • 次に金額の大きい費用。事務所の家賃、リース、通信、保険
  • 早めに相談相手の承諾や審査が要るもの。賃貸借とリースは会社設立の前から動かします
  • 後回しでよい少額のサブスクなど。更新のタイミングで切り替えます

インボイスの登録番号は、法人成りをしても法人に引き継げません。会社設立のあと法人として登録し直し、新しい番号を取引先に案内してください。

事務所の賃貸借は、貸主の承諾なく個人名義のまま使い続けると、形式的には無断譲渡や無断転貸に当たります。経営の実態が変わらなければ解除は許されないという整理はありますが、無断でよいという話ではありません。

そして、いつ切り替えたかを記録に残してください。会社設立をした年は個人と法人の申告が並ぶので、経費と売上の帰属を判断する材料になります。

ここに書いた内容は2026年9月時点の一般的な整理です。契約の扱いは相手方との取り決めによって変わります。判断に迷う部分は、税理士や弁護士にご確認ください。

出典会社設立後に契約名義の変更が必要な場合 – 東京 会社設立パートナーズ (会社設立パートナーズ/2026年9月2日確認)

まず、通帳の明細を1年分さかのぼってください

名義を変える対象は、記憶ではなく記録から拾えます。引き落としの明細を1年分見れば、年払いの契約まで出てきます。棚卸しはそこから始まります。

売上に関わるものが最優先です。取引先との契約と振込先が個人事業主の名義のままだと、法人成りの第1期の売上の帰属が説明しにくくなります。

事務所の賃貸借やリースは、相手の承諾や審査が要ります。会社設立の準備段階から相談を始めてください。契約の扱いに迷う部分は、税理士や弁護士にご相談ください。

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個人事業主の会社設立と法人成りについて、国税庁・法務局・日本年金機構などの一次情報を確かめながらまとめています。記事の内容は執筆時点の制度にもとづく一般的な解説です。個別の判断は税理士など専門家と、所管の官庁にご確認ください。

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