従業員の手取りと会社の負担が同時に変わる|法人成りで社会保険に入るということ
個人事業主が会社設立をすると、従業員は国民健康保険と国民年金から健康保険と厚生年金に移ります。手取りが減る人もいれば増える人もいる。会社の側にも折半…
2026年9月2日 更新
「法人成り 従業員」の記事記事 3 本
個人事業主が会社設立をすると、従業員は国民健康保険と国民年金から健康保険と厚生年金に移ります。手取りが減る人もいれば増える人もいる。会社の側にも折半…
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会社設立の前から働いてくれている従業員に退職金を払うとき、個人事業主だった期間を通算できるのか。法人税基本通達の条件と、打ち切り支給という選択肢を並…
2026年9月2日 更新

個人事業主が法人成りをすると、雇っている人の雇用契約も保険もすべて法人に移し替えることになります。年金事務所は5日以内、労働基準監督署とハローワーク…
2026年9月2日 更新
人を雇っている個人事業主で、会社設立を考えている方へ
パートでも正社員でも、一人でも人を雇っている個人事業主にとって、会社設立は自分だけの話では済みません。給与を払う人が個人から会社に替わり、雇用保険も社会保険も、届け出る先と中身が変わります。このページは、そうした立場で法人成りを考えている方に向けて書いています。
従業員への説明と同意、雇用保険・労働保険・社会保険の届出、給与と源泉徴収、個人と会社の両方から給与が出る年の年末調整、退職金、建設国保を続ける場合の手続きの順に並べました。個人事業主の側でやること、会社の側でやることを分けて書いています。
期限は、厚生労働省・労働局・日本年金機構・国税庁の案内で確かめた2026年10月時点のものです。労働保険の扱いは事業の中身と管轄で変わるので、最後は窓口で確かめてください。

法人成りでいちばん見落とされやすいのは、従業員から見ると雇い主が替わるという点です。個人事業主と、その個人事業主が会社設立をして作った会社は、法律の上では別の人です。同じ店で同じ仕事を続けていても、給与を払う人、雇用契約の相手は、個人から会社に移ります。
民法第625条第1項は、使用者は労働者の承諾を得なければ、その権利を第三者に譲り渡すことができないと定めています。個人事業主が結んでいた雇用契約を、そのまま会社に移すことはできず、本人の承諾が要ります。実務では、個人事業主のもとを退職し、会社に新しく雇われる形で切り替えるのが一般的です。
給与や休日を変えないなら、従業員にとって変わるのは名義だけのように見えます。けれど、社会保険に入ることで手取りが変わる人もいますし、勤続年数の扱いを気にする人もいます。会社設立の日が決まったら、手続きの前に一人ずつ話をする時間を取ってください。
個人事業主として家族を青色事業専従者にしていた場合も、会社設立をすると専従者給与の仕組みは使えなくなり、会社からの給与か役員報酬に切り替わります。家族の扱いは法人成り 役員報酬のカテゴリーもあわせて見てください。
出典e-Gov 法令検索 (デジタル庁(e-Gov法令検索)/2026年10月18日確認)

雇用保険は、従業員の手続きの中でも期限が短いものが並びます。厚生労働省の手続き一覧表では、適用事業所設置届は保険関係が成立した日の翌日から10日以内、被保険者資格取得届は被保険者となった日の属する月の翌月10日まで、資格喪失届と適用事業所廃止届はそれぞれ翌日から10日以内とされています。
| 届出 | 出す側 | 期限(厚生労働省の手続き一覧表による) |
|---|---|---|
| 雇用保険適用事業所設置届 | 会社 | 保険関係が成立した日の翌日から10日以内 |
| 雇用保険被保険者資格取得届 | 会社 | 被保険者となった日の属する月の翌月10日まで |
| 雇用保険被保険者資格喪失届 | 個人事業主 | 被保険者でなくなった日の翌日から10日以内 |
| 雇用保険適用事業所廃止届 | 個人事業主 | 廃止した日の翌日から10日以内 |
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喪失と取得にするか、転勤の扱いにするかで、出す書類が変わります。管轄のハローワークで確かめてください。
気をつけたいのは、法人成りでは個人事業主の側で資格を喪失させ、会社の側で取得させる、という形が原則になる点です。東京労働局のハローワークのよくある質問では、被保険者が別法人に移る場合は原則として資格喪失と資格取得の手続きが必要で、営業譲渡などで元の事業主と譲渡先に同一性が認められれば転勤の手続きになるとしています。同一性があるかはハローワークが確認し、新旧事業実態証明書などの提出を求めるとしています。
個人事業主から会社設立をした場合に、どちらの扱いになるかは、事業の中身と書類しだいです。喪失と取得になると、離職票を出すかどうかを従業員に確かめる場面も出てきます。会社設立の前にハローワークに相談しておくと、当日あわてずに済みます。
届出の順番と、3つの窓口の回り方は従業員がいる個人事業主が会社設立をしたら|雇い直しと、3つの窓口への届出で、一件ずつ書いています。
出典適用事業所に関するQ&A (東京労働局/2026年10月18日確認)

労働保険は、労災保険と雇用保険をあわせた呼び名です。厚生労働省は、農林水産業の一部を除き、原則として労働者を1人でも使う事業は適用事業になり、事業主は保険関係が成立した日から10日以内に保険関係成立届を出すとしています(労働保険とはどのような保険ですか)。
徳島労働局の「事業所に関する手続き」では、保険関係成立届は成立した日の翌日から起算して10日以内、概算保険料申告書は50日以内とされています。事業を廃止したときは、確定保険料申告書を廃止した日の翌日から起算して50日以内に出し、雇用保険の適用事業所廃止届は10日以内に出すとしています。

法人成りでは、会社の側で保険関係を成立させ、個人事業主の側で廃止して確定保険料を精算する、という形がよく紹介されます。一方で、名称・所在地等の変更届で済んだという例を書いた記事もあります。どちらになるかは、事業の中身と管轄の労働局の判断で変わるので、このページでは決めつけません。
建設業や農林水産業のように、労災保険と雇用保険を別々に扱う事業もあります。そうした事業では、出す先や書類がさらに分かれます。会社設立の日が決まった段階で、労働基準監督署かハローワークに、個人事業主から会社に替わる予定だと伝えて手順を聞くのが確実です。
出典事業所に関する手続き (徳島労働局/2026年10月18日確認)

社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、法人成りで大きく変わるところです。日本年金機構は、株式会社などの法人の事業所は、事業主のみの場合も含めて強制適用事業所になるとしています。個人の事業所は、従業員が常時5人以上いる場合に、一部の業種を除いて適用事業所になります。
つまり、従業員が4人以下の個人事業主のときは社会保険に入っていなかった事業所も、会社設立をすると加入が必要になります。新規適用届の提出時期は事実発生から5日以内とされています(新規適用の手続き)。従業員の被保険者資格取得届も、5日以内に出します。

従業員の側では、国民健康保険と国民年金から、健康保険と厚生年金保険に移ります。保険料は会社と従業員で半分ずつ負担するので、会社には新しい負担が生まれ、従業員の手取りも変わります。個人事業主のときに5人以上いて、すでに適用事業所だった場合も、事業主が個人から会社に替わるので、届出が要ります。
手取りがどう動くかと、従業員への伝え方は従業員の手取りと会社の負担が同時に変わる|法人成りで社会保険に入るということで、社長自身の社会保険は法人成り 社会保険のカテゴリーで扱っています。
出典適用事業所と被保険者 (日本年金機構/2026年10月18日確認)

建設業の個人事業主は、自分も従業員も建設国保(建設業の国民健康保険組合)に入っていることが多いものです。会社設立をすると、会社は健康保険の適用事業所になるので、原則としては協会けんぽなどの健康保険に移ることになります。
ただし例外があります。日本年金機構の案内では、国保組合に加入している人が働く個人事業所が法人事業所になった場合などに、加入している国保組合の理事長と厚生労働大臣の承認(適用除外承認)を得れば、引き続き国保組合に加入できるとしています。申請は、事実が発生した日から14日以内に行う必要があります。

適用除外になるのは健康保険の部分だけで、会社の従業員として厚生年金保険には加入します。やむを得ない理由で14日以内に出せなかったときは理由書を添付し、法人登記の手続きに日数を要する場合や、国保組合理事長の証明に日数を要する場合などが、やむを得ない理由に挙げられています。
会社設立の登記と、国保組合の証明と、年金事務所への申請が短い期間に重なるので、建設業の個人事業主は会社設立の前に国保組合に相談しておくと安心です。建設業許可の切り替えは法人成り 許認可のカテゴリーで扱っています。
出典就職したとき(健康保険・厚生年金保険の資格取得)の手続き|日本年金機構 (日本年金機構/2026年10月18日確認)
個人事業主のうちに決めておくこと(役員報酬・決算期・社会保険の入り方)は、あとから直すと手間もお金もかかります。法人成りの前後をまとめて見てくれる相手に、いちど当ててみるのが早道です。
無料で相談してみる※ 当サイトは会計事務所SoVaの「士業伴走プラン」を紹介しています。同プランの設立サポートは freee会社設立 を利用する前提で、設立サポート手数料0円は顧問契約(月1.5万円〜)とあわせて依頼する場合の条件です。当サイトは一般的な解説であり、法人成りの判断や個別の税務は税理士などの専門家にご相談ください。最新の料金・条件は必ず公式ページでご確認ください。

会社設立のあと、従業員の給与は会社から払います。給与から所得税を差し引いて納める源泉徴収の義務も、個人事業主から会社に移ります。会社は、給与支払事務所等の開設届出書を税務署に出します。国税庁の案内では、開設、移転または廃止の事実があった日から1か月以内に出すとしています。
個人事業主のときに源泉所得税の納期の特例を受けていても、会社は別の源泉徴収義務者になるので、会社として改めて源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請を出します。承認されるまでは毎月納付になる点にも気をつけてください。
給与の額そのものは、法人成りをしても変える必要はありません。ただ、社会保険料の天引きが始まると手取りは下がるので、総支給額をどうするかは従業員と話しておくべきところです。会社設立の初月は、給与の締め日と支給日が個人事業主の期間と会社の期間にまたがることがあります。どちらの名前で払う給与かを、締め日ごとに区切っておいてください。
社長自身の報酬は、従業員の給与とは別の決まりで動きます。役員報酬の決め方は法人成り 役員報酬のカテゴリーにまとめています。
出典A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出 (国税庁/2026年10月18日確認)

法人成りをした年は、同じ従業員に、個人事業主と会社の両方から給与が出ます。国税庁の質疑応答事例では、法人成りの前の支払は個人事業者が、法人成りの後の支払は法人が法定調書の提出義務者になり、法人成り後も続けて勤める人の法人の源泉徴収票は、個人事業者を退職し、法人に中途就職したものとして記載するとしています(年の中途で法人成りをした場合の法定調書の提出)。
中途就職者の年末調整について、国税庁は、年の中途で就職し年末まで勤める人も年末調整の対象になり、ほかで扶養控除等申告書を出して受けた給与がある人は、それらの給与を含めて年末調整を行う必要があるとしています。前の給与は源泉徴収票などで確かめ、確かめられないときは年末調整ができず、本人の確定申告で精算することになります。

つまり、個人事業主の側は、会社設立で退職した扱いになる従業員に、自分の名前で源泉徴収票を作って渡し、会社の側はそれを受け取って年末調整に入れます。会社設立の年の年末は、同じ人が2枚の源泉徴収票を持つことになるので、どちらが先に必要かを社内で決めておくと迷いません。
社長自身の年末調整や確定申告との関係は、法人成り 確定申告のカテゴリーで扱っています。個人事業主の最後の年の申告と、会社の最初の年末調整が同じ時期に来ることも覚えておいてください。
出典No.2674 中途就職者の年末調整|国税庁 (国税庁/2026年10月18日確認)

会社設立の前から働いてくれている従業員に、いずれ退職金を払うとき、個人事業主のもとで働いた期間も勤続年数に入れたい、と考える方は多いはずです。法人税基本通達9-2-39は、個人事業を引き継いで設立された法人が、個人事業当時から引き続き在職する使用人の退職により退職給与を払った場合、その退職が設立後相当期間経過後なら、支給額を損金の額に算入するとしています。
ここでの条件は「設立後相当期間経過後」です。会社設立の直後に辞めた人に個人事業主の期間の分まで払う場合は、本来は個人事業主が払うべき退職金を会社が肩代わりしたと見られるおそれがあります。相当期間がどのくらいかは通達に数字で書かれていないので、税理士と相談しながら決めてください。

従業員の側の税金も見ておきます。退職金は退職所得として、勤続年数に応じた退職所得控除を差し引いて課税されます(No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得))。個人事業主の期間を勤続年数に通算できるかは、事実関係によって判断が分かれる論点です。
通算の条件、打ち切り支給という選択肢、会社設立から何年という目安の意味は個人事業主のときの勤続年数は、退職金に通算できるか|法人成りと使用人退職金で詳しく書いています。
出典第7款 退職給与|国税庁 (国税庁/2026年10月18日確認)

法人成りで従業員について考えることは、雇い主が個人から会社に替わる、という一点から始まります。本人の承諾を得て、会社として雇い入れ、保険と給与の名義を会社に移す。その順番を守れば、手続きは一つずつ片づきます。
どの手続きも、会社設立の日から期限が数えられます。会社設立の前に、ハローワーク、労働基準監督署、年金事務所、税務署の4つの窓口に予定を伝え、どの書類をいつ出すかを一覧にしておくと、当日に慌てずに済みます。
個人事業主のままで従業員を雇い続けるか、会社設立をして雇い直すかで迷っている段階なら、従業員の社会保険の負担も含めて損得を比べてみてください。法人成り全体の流れは法人成り 手続きのカテゴリーで、個人事業を閉じる書類は法人成り 廃業届のカテゴリーで扱っています。
出典No.2110 事業主がしなければならない源泉徴収 (国税庁/2026年10月18日確認)
人を雇っている個人事業主の法人成りは、書類の数より、従業員に納得してもらえるかどうかで進み方が変わります。手取りが変わる人、勤続年数を気にする人、家族として働いてきた人。一人ずつ事情が違います。
会社設立の日を決めたら、まず従業員に話し、そのあとで窓口に相談してください。社会保険の負担や退職金の通算のように、お金の動きが絡むところは、社会保険労務士や税理士に早めに見てもらうと安心です。
「法人成り 従業員」に「手続き」「給与」「退職金」「社会保険」「年末調整」「建設国保」を足し、あわせて「会社設立 個人事業主 法人成り」でも実際に検索して出てきたサイトから20件を選びました。掲載の順番は優劣を示すものではありません。労働保険を新しく成立させるか変更の届出で済ませるかは、事業の中身と管轄の労働局の判断で変わるので、記事ごとに書き方が違うことがあります。
法人化で従業員の立場と手続きがどう変わるかを、タイミングの目安と一緒に並べています。最初の段を読んだあとの確認に向きます。
biz.moneyforward.com
法人成りで社会保険の加入がどう変わるかを、手続きと保険料の負担から説明しています。建設国保に触れた部分もあります。
社会保険労務士法人が、個人事業主の法人化で必要になる社会保険の手続きを書いています。社会保険の段とあわせて。
www.tokai-sr.jp
法人化するときの社会保険の手続きと必要書類を、社労士の申請代行サービスがまとめています。添付書類の確認に。
法人化した場合の労働保険と社会保険の手続きを、社労士事務所が順に説明しています。(ksrfp.com)
会社設立後の労働保険と社会保険を、社会保険労務士法人が講座の形で解説しています。
omuro-jsv.or.jp
個人事業主から法人化する場合に必要な労務の手続きを、事務所の移転などの場面とあわせて説明しています。
労働保険の成立と変更の手続きを、社会保険の手続きサービスの会社が説明しています。成立か変更かで迷うときに。
法人成り後の労働保険の手続きを、社会保険との違いも含めて税理士法人が書いています。
koyano-cpa.gr.jp
社会保険の新規適用とは何かと、役員や従業員が加入する手続きを社労士サービスが解説しています。新規適用届の記入前に。
会社設立後の社会保険の手続きで、やることと必要書類を並べています。
建設業の人が入る国民健康保険組合の中身を説明しています。適用除外承認の段とあわせて読むと流れがつかめます。
atsoho.com
国保から社会保険へ切り替えるときの手続きと期限、必要書類を説明しています。従業員の側の国保の脱退の確認にも使えます。
法人成りしたときの役員報酬と給与の考え方を、税理士法人がコラムにしています。
法人成りのあとに青色事業専従者給与を払った場合の課税の扱いを、事例の形で説明しています。家族を雇っていた方に。
www.zeiken.co.jp
法人成りした年の確定申告で押さえる点を並べています。年末調整の段で書いた、個人と会社の給与が並ぶ年の整理に。(www.ht-tax.or.jp)
法人成りと使用人退職金、役員退職金の扱いを、税務の専門誌のコラムが解説しています。退職金の段の裏付けに。
個人事業のときの勤続年数を通算して退職金を払ってよいかを、税理士事務所が答えています。
www.setuzei.biz
法人成りの直後に辞めた従業員の退職所得控除で、勤続期間を通算できるかを税務の質疑応答の形で扱っています。(tokyotacs.com)
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